4 くいごこむかし

 むかし、ええじさまはすばらしい働き者でよ、そしてわるいじじは働くことそ ねんでばりいたど。そしてわるいじじは毎日毎日、火種もらいに来るもんだど。
 ええじさまは犬飼ってで、犬うんと大事にしったど。
 ある日、畑さ、じさま連れでって、「ここ掘れわんわん」てやったって。そうすっ ど、黄金がたくさん出てきた。そいつを家さ持って行って座敷にひろげっだらば、 隣のじじが来て、
「どっから求めてきた」
 どかて言うたって。そうすっど隣のじじが話を聞いて、
「犬を貸してくろ」
「いや、貸さんね」
 ていうげんども、貸してくろ、貸してくろて自分が借りて行ったったどな。そ うすっど、縄つけて裏の畑さ連(せ)て行って、
「どこ掘っこんだ、どこ掘っこんだ」
 ていうたそうだ。ほだげんども犬はただワンワンて鳴いだったどな。そいつを 隣のじじは怒って、鍬で殺してしまったど。そいつをよいじさまは、犬もらいに 行ったら、
「殺したぞ」
 て、そう言わっで、これは可哀そうだと思って、その犬を家の裏さ持ってきて、 埋めて、記念に松の木一本植えだど。そいつがたちまちうちに大きくなったって な。それから、じさまが松の木で臼をこしゃったってな。そしてその臼で餅搗い だらば、餅ではなくて、みなお金になったどかて。そいつまた隣のじじ来て、
「その臼貸してもらいたい」
「貸さんね」
 て言うげんども、また持って行って、餅搗いたど。ほだげんども餅など出なく て、カワラ欠けばり出てきたなて。
 そいつまたごしゃえで、斧で割ってくべてしまったど。そしてじさまが臼取り に行ったば、
「お金出ないもんだから、面白くないから、火点けて焼いてしまった」
 そう言わっじゃもんだから、焼いたどこさ行って灰をもらってきて、枯木さふ りかけたら、今まで枯木だったのが花咲いたど。それから城下に行き、
「花咲かじじい、枯木に花を咲かせましょう」
 といって、枯木に花咲かせて、みなの人を喜ばせておったど。そいつが城下の 評判になって、殿さまが、
「そいつ、花咲かせんの見たいもんだ」
 ていうたど。そして殿さまがそいつを呼ばって、花を咲かせてみろて言うたら、 木にのぼり、灰をにぎって、
   チチリ ポンポン
   コガネ サラリ
 と唱えて灰をふりかけたど。そしたらぱっと花が咲いた。それで御褒美たくさ んもらってきた。そいつまた隣のじじが聞いたもんだから、ほんじゃ、おれも行っ て花を咲かせて、褒美もらってくると思って、灰持って殿さまんどこさ行ったて いうたな。
「花咲かじじ、また来たから、見ておぐやい」
 て。そうすっど殿さまもまた咲くもんだと思って、
「ほんじゃ、咲かせてみろ」
 ていうたど。ほして木さのぼって振りかけたば、花咲かねくて、風ぁ吹いて、 殿さまの目さ入ったどこだど。そしてそのじじがお仕置になったど。んだから人 真似ざぁするもんでないぞ。どーびんと。
(小関清輝)
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