58 地蔵浄土

 まいど、じじとばばいだっけど。そしてばばが朝げに起きて、座敷掃っかと思ったば、団子一つあったど。そして、
「じじ、じじ、たいした大きい団子あるもんだな」
 て言うたらば、じじぁ起きてきて、
「おお、なんだこの団子、たいした大きい団子なもんだ」
 なて、抑えっかと思ったら、団子コロコロ、コロコロと転がって行って、「団子殿、団子殿、どこまでござる」て追かけて行ったらば、大きな孔さチョロっと入って行ったど。そしてじじぁ、そこからずっと追っかけて行ったば、広い原っぱさ出はって、そしたば団子の姿見えなくなって、ずっと行ったらば、大きな地蔵さま立っていたど。そして、
「地蔵さま、地蔵さま、団子転んで来ながったべか」
「さぁ、団子転んできたげんど、おれぁ御馳走になってしまった」
 て。
「その代り、こさ鬼こどもぁ来て、一生懸命で博奕を打ったり、花札をしたりして、宝物いっぱい出して遊ぶから、そのとき鶏の真似しっじど、逃げて行んから、おれ肩から登って行って、そさ隠っでで、鶏の真似しろ」
 て言わっで、そのじじ、地蔵さまのうしろさ登って、そして、いや来たにも来たにも、鬼こはいっぱい来て、その地蔵さまの前で宝物いっぱい出して、花札打ったり博奕打ったりして、ほら、こん時だ、て、
パタパタパタ、コカカェロー
「さぁ、一番鶏だ、鳴いたぞ」
 いや遊ぶにも、遊ぶにも。そしてまたこんど、
パタパタパタ、コカカェロー
「ほら、二番鶏だぞはぁ、いまちいとだぞはぁ」
 なて、いやいっぱい宝物置いっだとき、
パタパタパタパタ、コカカェロー
 て言うたば、「さぁ夜明ける」て、その宝物置いではぁ、わらわら逃げて行ったごんだど。そしておじいさんはいっぱい宝物もらって家さ来たらば、隣のばば、
「ほう、したり。こっちの家では宝物たいしたもんだ。なじょして、どさもらって来た」
 て言うもんだから、こういうことで団子さ追かけて行ったれば、地蔵さまで、こういうごんでもらって来たて言うたば、
「ほう、おらえのじじも、灰まらばりはじっていっから、やってみらんなね」
 ていうもんで、団子を大きく握って、小汚たない団子、まくってやって、そして地蔵さまさ行ったげんど、さっぱり食(か)ねんだけずげんど、びりびり地蔵さまさ食せて、そして、うしろさ登れとも言わんねの登って待ちっだけど。そしたればやっぱりそのうち鬼こぁ来て、一生懸命遊んでいるもんだから、真似して、「パタパタ、パタパタ、コケコェロー」て言うたれば、
「一番鶏鳴いたぞ」
 また「パタパタ、パタパタ、コケコェロー」て言うたんだけな。そしたら、
「ほら、二番鶏鳴いたぞ、いま少しだぞ」
 なているうちに、「パタパタ、パタパタ、コケコェロー、アハハ…」
 て笑ったど。
「いや、これは鶏でない、誰かに相違ない」
 て言うたれば、じじなもんだから、いや攻めらっで、散々な目に合ってはぁ、宝さっぱりもらわねで来たけど。んだから、人の真似ざぁするもんでないけど。とーびんさんすけ釜の蓋。
(大石きみよ)
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