35 風呂屋の娘

 あるところで、風呂屋の娘が良縁あって、むがさって行ったけど。ところが間もなく戻ってきた。
「なして、お前、こだえ早く戻ってきた」 「おかちゃん、おかちゃん、たまげだ。うちの人、(かた)()でなかんべが」 「なして」 「みんな下向きだげんど、うちの人んな、登り向きだけ」  あまた男、湯に入るとき、番台から見っだ娘が、下り向きのを見でで、初夜の契りの時さわって見ろ、さわって見ろと言うがら、さわってみだれば上向きで、しかも固かったということだったど。
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