14 桃太郎

 むかしあったけど。
 おじいさんとおばぁさんが居てで、おじいさんが山さ柴伐りに、おばぁさんが川原さ洗濯に…。そうすっど向うの方からドンブラコ・ドンブラコと大きいもの、何か流れてくると思って見っだところぁ、大きな桃流っできて、「あららら」どて、拾ってきて家さ来て、割って食うべと思って、俎板の上さあげて切んべと思ったら、パカッと切んねうちに割れて大きい男の子ぁ出たど。
 そして鬼ガ島さ鬼退治に行ったど。犬と会って、
「日本一のキビダンゴ、一つ下さい、お伴しましょう」
 て言うて、その次に、猿・キジが来て家来にして、鬼ガ島さ行った。そして行ったら若い娘と会って、
「ここさ来っどこでない、ここさ来っど生命(いのち)ない」
 て言わっだど。
「いや、鬼ガ島さ鬼退治に来たんだから教えろ」
 て言うたら、キジがその門の戸を開けたど。そしたらいっぱい居て、一に頼光、二に渡辺、三に貞光、四に季武、五に宝生、六に金時と、ずうっと並んで鬼共ら、いっぱい寝っだけど。そいつ一番の頼光を退治してしまったど。
(中條ちゑの)
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