15 花咲じじい

 むかしあったけど。
 じじとばばがいて、じじは山さ柴伐りに、ばばは川さ洗濯に行ったど。そしたら川に赤い小箱と白い小箱流っできたど。ばばは、
   赤い小箱こっちゃこい
   白い小箱そっちゃ行げ
 て言うて、赤い小箱拾ったら、くいごこ入っていたど。ばさまそいつを育てたど。
 ある日、
    じんつぁものれクェンコクェン
    ばばものれクェンコクェン
 てのせて行ったど。そしたら、「ここ掘れ、クェンクェン」て言うど、金はザクザク。「あそこ掘れ、クェンクェン」て言うど、金はザクザクと出て、でっつりカマスさつめて来たど。そして隣のばっちゃ、
「火一つ呉っでおくやい」
 て、火もらいに来たけど。
「あららら、なんだべ、こっちの家、こんがえ金持になって…」
 て言うたらば、
「おらえのくいごこ、金掘りにあえべなて言うから、行ったらば、いっぱい金出て…。んだからおらえの家、こんがえ金持になったのだ」
「あらら、ほんじゃおれにもそのくいごこ貸しておくやい」
 て、行かねて言うの、びりびり引張って行ったべ。そして連(せ)て行って、掘れても言わねどこ掘ったば、牛のビタ糞びだびだと出(で)きて、
「この畜生、ほに、皆こがえな汚ないものばり出(で)きて…」
 て殺して、松の木植えてそこさ埋めてきた。そうすっど、その木は段々におがって、臼彫ったというわけだ。
 臼彫って米搗くど、また金がザクザクと臼の中から出てくんのだど。隣のばっちゃ、また火もらいに来て、
「こっちの家でぁ、来るたんび金持になるなぁ」
 て言うたば、
「お前で、おらえのくいごこ殺したのさ、松の木植えたの。臼彫ったのさ、金がザクザク出っど、こら」
 て、そう言って、また借りて行って、また牛のビダ糞びだびだと出てきたど。そんで割って焚いだごんだど。そして「返しておくやい」て行ったところが、
「あがなもの、ビダ糞なのばり出っから、ぶつ割って焚いてしまったはぁ」
 て。そしたら、
「んじゃ、その灰呉っでおぐやい」
 て言うて、その灰持ってきたど。その灰で、殿さまに、
「枯木さ花咲かせてみろ」
 て言わっで、じさま、
    黄金サラサラ
    チチラスポン パイン
 て、灰撒いたところぁ、枯木さ花咲いたど。こんど隣のばば、また、
「おれも銭もらって来んべ」
 て行ったところぁ、さっぱり花咲かねで、かえってびだびだて出はったもんだから、殿さまにごしゃがっで来たど。とーびんと。
(中條ちゑの)
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