16 笠地蔵

 むかしあったけど。
 ある時、じさまが晦日(つめ)の買物に、笠拵ったな売りながら行ったど。そして誰も買わねもんだから、そのうち雨降ってきたもんだから、地蔵さまさその笠かぶせて来たど。そして家さ帰ったらおばぁさんが、
「なえだ、そいつで米買って来んなだった」
 て言うたら、おじいさんが、
「米買わねで来たはぁ、笠売んねがらはぁ、地蔵さまさ皆かぶせて来たもはぁ」
 て、そう言うたって。
「そんじゃええがったごで。あの…」
 こう、おばぁさんが言うたど。
「ほんじゃ、今夜米御飯炊いで食んねがら、クキナ煮でもして食んなねごではぁ、じんつぁ」
 て、こう言うて、クキナ煮して食べたって。そしたば、夜中頃になったば、
「じんつぁ家はどこだ、まだあっちの小屋だか」
 て、音ぁしたど。そしてばばと二人で、
「何(なえ)だべ、じんじぁ家はどこだ、まだあっちの小屋だか、なていう話する、あの、何だべ、じっちゃ」
 なて、ばっちゃと二人で話すど、なんぼも近くさ来て、
「じじぁ家どこだ、まだあっちの小屋だか」
 て、音立てたど。そして、
「なえだか近間さ来たようだぜ、じんじ」
 ていたらば、
「ここだ、ここだ」
 て言う音ぁしたずも。そしたところぁ、じんつぁとばんさ、恐っかなくて、何化物でも連(せ)て来らっだと思って、恐っかなくなって団子のようになって寝っだど。
そしたら、ドガエンという音、猫くぐり穴からしたど。そしたら、
「そら、化物ぁ来た、早く明るくなって呉れればええ、早く明るくなって呉れればええ」
 どて、じんつぁとばんさ、団子になって寝て、こんど明るくなったから起きてみたら、茶の間いっぱい、銭と金、ザクザクだったど。そしてじんつぁとばんさ、安泰して暮したど。とーびん。
(中條ちゑの)
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