18 兄弟話

 支那にうんと貧乏な家さ生まっで、そして、
「まず、こんでは、おらだも二人でいても死ぬばりだ、仕様ないから、別っで世の中見て、再建しようじゃないか」
 て、舎弟さ言うたど。同意して二人別れて、あるどこまで行ったところが、ちょこっと五十文拾ったど。
「これは天の救いだ、これを土台にして何かになって、二人で再建さんなね」
 て、こういうことだど。ところがそいつぁええがんべというわけで、二つに分けて西と東に別っで行ったど。兄は兄でそれを土台にしてすばらしい大身成を拵ったもんだど。
 舎弟はその銭は大事にしまって、決して人に盗(と)らっだりしないようにしまって置けよと、つくづく無くなんねことばっかり聞いたから、舎弟はその銭、世の中に一文も出さねでもらって食って歩(ある)ったど。ところが、
「兄はなんとしった」
 て思って、ある日に廻り廻って、ある家さ奴(やっこ)みたいにして、「こんにちは」て行ったところが、兄の家だったど。
「奇態だな、舎弟に似たようだな」
 ていたげんども、あんまり格好わるいもんだから、
「こっちさ廻れ」
 て廻らせて、会ったら兄の顔だっけ。
「兄んちゃだな、こげなすばらしい家さ入っているなんて、どういうことだ」
 て言うたど。
「実はこれ、あのとき拾った銭を使って、この身成を作り上げた、お前はその銭は何した」
 て言うど、
「兄んちゃ、大事にしまっておけと言うから、しまっていた」
て、風呂敷をふところから出して見せたど。
「なんぼ大事にしろって言うたて、その大事でないごで。これは無駄使いすんなということだ」
 て言うたど。
(中條貞次)
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