23 和尚と小僧― 甘酒 ―

 おばさま、通し、甘酒造って、和尚さま、「温ったかい、温ったかい」て、そこらさ行って来っど甘酒飲ませっかったど。んで、小僧にさっぱり飲ませねがったど。なんぼしても…。穴倉みたいなどこから出して、和尚さまにばり飲ませて、そしてある時、おばさまも和尚(おっ)さまも行って居ねがったど。
 流しさ行ってみたらば甘酒あっから、小僧みな飲んでしまって、和尚さま帰って来て、飲むべと思ったら、さっぱりなかったど。ごしゃかれっからどて、お釈迦さまさ、ポタンポタンと落して歩いて行って、顔面(つら)さ塗ったぐって呉たごんだど。そしたら、
「和尚さま、甘酒ないなて、お釈迦さま皆飲んだぜ」
 て、その小僧は言うたど。
「お釈迦さま、甘酒飲むなんてない、この馬鹿やろう」
 て言うど、ほんじゃらばどて、持(たが)って来て叩いたら、カーン、カーンて言うずも。
「ほら、食(か)ねて言うぞ」
「ほんじゃらば、煮てみっか」
 て言うて、煮てみたら、「食(く)った食(く)った、食った食った」て言うど。そんで小僧に負けたど。
(中條ちゑの)
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