11　狐とり権兵衛

　むかし権兵衛という人、狐とりで商売している人いだったど。そん時、狐が相談したって。
「権兵衛にばり獲らっでいらんねがら、権兵衛んどこ獲って呉れろ」
　て。そして相談して、酒持って行って権兵衛酔えらせて、そして権兵衛どこ獲ってくれるというわけで、十人ばりして行ったんだど。そうすっど権兵衛、
「確かにこいつぁ狐だ」
　というわけで、こんど油ネズミ拵って、フクベンの中さ入っで、
「おれぁ酔えたから、お前だも酒酔えだ時は夜道はあぶないから、行かねで、今夜泊って行げ」
　て、そして油ネズミ入ったフクベンを枕させたもんだど。そうすっど寝たところがプンプン、プンプン匂いする。油だから…。すっど片脇からネズミ食いたくて、フクベンさ頭突込んだというわけよ。そうすっど抜けねぐなったってよ。抜けなぐなっど、そっちゃ行ってガタン、こっちゃ行ってガタン。
「野郎べら、始まった」
　て、権兵衛いだったてよ。そして、
「なんだまず、そんがえなことしてぶっつけて、戸迷いして、入口ぁあっちだ、便所ぁこっちだ」
　て言うげんども、ガタンガタンて、見えねからぶっつけたってわけだ。そうすっど正体あらわして狐になって、ぺろっと権兵衛に獲らっじゃったど。どーびんと。
（鈴木よし江）
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