25 花咲じじい

 じさまとばさまがいだっけど。じさまが山さ柴刈りに、ばんさが川さ洗濯に行ったど。そしたら川から赤い箱と白い箱流っで来たど。白い箱拾ったら中さくいごこ入っていだっけど。んだから可愛がって育てて、大きくなったら、じんつぁどこ引張って行って、
「ここ掘れ、ワンワン」
 て言うもんだから、掘ってみたば、大判小判がざくざくと出てきたど。ばさまと二人で喜んで持ってきたどこさ、隣のいじわるじいさんが見て、
「くいごこ、おれに貸せ」
 て。そして貸さんねていうな、びりびり引張って行って、鳴きもしないな、そこ掘った。そしたば瀬戸かけだの瓦かけなど、ざくざく出てきて、宝は何も出て来(こ)ね。そんでこんど山さ行って殺して、
「そげなもの、テンツ犬だから、こげなもの分んねがら」
 て殺して埋めて、そこさ松の木一本植えて来たど。
「あがえな犬、さっぱり出ね。金など出ね。瀬戸かけなどばり出て、何にも出ねから山さ埋めて松の木一本植えて来た」
 どかて、来たって。そうすっどじさまとばさま、くやしくて泣いて、むごさくて、そして何年か経ったか、山さ行ってみて、その松の木がうんと大きくなって、そいつ切って来て、こんど臼拵ったど。そしてその臼で餅搗いてみたれば、餅の中から大判小判がザクザクと出てきたど。そうすっどこんどまたそいつ欲しくなってはぁ、隣のじさまがまた借りに来たど。
「こいつなど貸さんね、またこわされっから、貸さんね」
 て言うたげんども、びりびり持って行って、そして搗いてみたば、やっぱり何にも出て来ない。そうすっど、あんげな臼は分んねから、かんげなもの(こんなつまらぬもの)割って焚いてしまえ、て。そしてカマドさくべて焚いてしまって、
「あげなものは、何にも出てこないから焚いてしまった」
 て、来たって。そうすっどまたくやしくて、こんどぁ、
「灰集めて来い」
 て、そしてカマドの灰集めて来たら、風吹いてきて、来る途中に飛んだど。それが枯木さかかったれば花が咲いた。これはしめたもんだと、殿様のお通りになっどき、
「花咲かじじいでござり申す。枯木に花を咲かせ申す」
 て、上がっていだって。「一花咲かせてみろ」て言わっで、
   チチンポンポン コガネサラリン
 どかて、灰を撒いたらば、枯木が一面花咲いたど。そうすっど、
「こいつは珍らしいもんだ」
 て、そして御褒美いっぱいもらって来たって。そうすっど隣のじさまそいつ聞いて、また真似したくなって、こんどカマドの灰、ありだけ集めてきて、そして殿さまお通りになっどき、その木の上さあがっていて、
「花咲かじじいでござり申す。枯木に花を咲かせましょう」
 どかて上がっていたれば、
「ほんじゃれば、花咲かせてみせろ」
 なて。そうしたれば花などさっぱり咲かねで、殿さまの目や口さみな入って、そして縛らっじゃど。どーびんと。
(鈴木よし江)
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