29 貧乏神(2)

 貧乏ぐらしの夫婦者で、なんぼ稼いでも旦那から前借り、前借りで、もらう金ないがったど。そしてたった五円しかないがったど。年取りの日によ。
 その五円で何買ったらええがんべ、米もない、焚物もない、何にもない。
「ほんじゃらば、そいつで炭一俵買ってこい」
 て、炭一俵買って来たど。そしてその囲炉裡(ゆるり)さ山ほど、ごうごうとおこして、
「ええ年取りだ、ええ年取りだ」
 て、当っていたど。そしたば貧乏の神は火所(ほど)の中さ入ってで、熱くていらんねくて、とび出して行ったので、それからうんと富貴になったけど。どーびんと。
(鈴木よし江)
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