30 笠地蔵

 じさまとばさまが富貴な暮しなどしていないで、年取りに買物に行ったって。そん時、年取りの日、雨雪ふってだっでえ(嫌な)日だったど。行く途中に六地蔵さま立ってござったって。そうすっど、
「地蔵さま、濡っでなんぼか寒かんべ」
 て言って、町まで買物に行ったげんども、
「おらだなど何も食(か)ねったって、地蔵さま、それよりも寒くてひどがんべ」
 て、その魚買う銭で、笠買ってきて、地蔵さまさかぶせて来たど。その夜、
「いや、ええがったな、じさま。おらだ食ったよりも地蔵さま寒くなくてええがったな」
 て寝っだっていうわけよ。そうすっど夜中に「ヨイヤサ、ヨイヤサ」て音ぁする。何の音だべと思って耳立てて聞いっだら、
「じじぁ家ぁどこだ。ばば家ぁどこだ。笠の代持って来た」
 て、音したって。そうすっどだんだんに、
「おらえの傍さ来る。何の音だべ」
 て、じさまとばさまといだど。そしてワクワクして、恐っかなくていだって。そして家の前さ来て、
「ばば家ぁここだ。じじ家ぁここだ。笠の代もって来た」
 て、ガラリあけて、ドサンと置いで行った音する。何物だと思って、朝げなって明るくなっど見たら、銭いっぱい置いて行ったど。んだから、親切ざぁするもんだ。どーびんと。
(鈴木よし江)
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