34 黄粉と爺

 じじいとばばぁと居たずもなぁ。
 庭掃くどて豆拾ったんだど。じじいとばばぁよ。そしたら、まず茶ホウジでカランコロン・カランコロンと煎って、そして半分は黄粉、半分は種子としてはたいたど。そしてホログベと思ったら篩なかったど。
「じじ、じじ、隣の家さ行って、篩借っで来い」
 て、ばばぁ言うたごんだど。したば、「篩、篩」てじさま行ったら、堀コあったて。堀コ、ピンと跳ねたら、ピンて言うたずま。そしたら隣さ行って、
「今日はおしょうしな。ピン貸しておぐやい」
 て行ったずま。そうすっど、「ピンなんてないぜ」て、こう言うたど。そして戻ってきて、
「ばば、ばば、ピンがないどはぁ」
 て言うたど。
「ピンつぁあんまい。じじったら、篩のことだごで」
 て言うたど。
「ほうか、んじゃまた行かんなねから、ほんじゃおれのモッコ褌ででもふるうべはぁ」
 て言うたど。そしてモッコ褌でふるったわけだべ。そして半分は黄粉、半分種子としてふるったそうだ。そうすっど、じさま屁ブウーとたっだじま。そしたら黄粉、向いの山さみなふっ飛んで行ったど。そしたらキジ、
     じじの屁の実 うまいうまい
     ケンケン ゴドゴド
 て、皆舐めだど。そしたればじじはごしゃえで、そのキジとって来て、煮て食ったけど。とーびんと。
(中條ちゑの)
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