46 狩野と左甚五郎

 左甚五郎は家建てて、「家建ったから見に来い」て、狩野を招ばったど。そうすっど、狩野が招ばっで、「ええ家だ」て、戸の口入んべと思うと、バヂンと閉(た)って向うが開く。向うさ廻って入んべと思うと、バヂンと閉(た)ってこっちが開く。そして何と入らんねがったど。
 そして、狩野がお絵描いて、そして左甚五郎が招ばっだど。そして招ばっで一杯飲んで昼眠したど。そして目覚めてみたれば、ちょうどここに赤鬼ぁ、今食わんばかりの目で、見でいっど…。
 どっちもどっちだったど。
(鈴木よし江)
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