14 心中林

 まいど、貝生に「サガリ」という俗名の所あった。そいつは昔「心中林」とも言うがったと。
 貝生の旦那衆の一人娘の箱入りで、決して他人さなど付合いなどないような立派な娘だったと。そしていたところぁ、なえだかその娘はおぼこ産(な)すようになったけと。そして、
「奇態なごんだな、一人娘の箱入りで、おぼこ産(な)す様になった」
 なんて、親父さまざま心配して、ほんじゃと法印さまさ行って占ってもらったけと。法印さまは、
「ははぁ、ほがえに一人娘の箱入りが妊んだなんて。んじゃ、一つの魔さしたんだべ」
 と言うたと。魔さしたなんて、おらえでは何も悪いことした訳でもないし、そげなことないわけだ。ほんじゃ別なお行様さ行って拝んでもらったら、と行ったと。そして、先の法印さまのことを言うと、お行様は、
「魔ばりでなく、羅も刺さったんだべ」
 と、段々聞いてみたら、その家の稼ぎ人に、ええ男いたったと。そしてその男と仲よくなって妊んだんだと。そんでもその男も堅い男だったし、娘も堅い女なもんだから、二人は「サガリ」さ行って―まいど、うんと首吊って下がったもんだから「サガリ」という所だと―そこは柿の木林で柿の木はすばらしくあったと。二人はそこさ行って、
「おらだ、悪いことしてしまったもんだから、死んで親たちさ申訳した方がええ」
 と、二人は首吊って死んだと。そして吊ったところぁ、その柿の木は、なじょな拍子だったんだか、一本がスジコ柿、ケンケ柿などという柿。丁度片輪柿みたいなばっかり実ったと。もう一本はペッペ柿で、どっちの柿もキザワシで?いですぐ食れんのだったと。若い衆は喜んでみんな食うもんだったと。どーびんと。

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