17 五郎政宗

 まいど、五郎政宗という日本一の刀鍛冶いたったと。刀ざぁ抜いて斬っど、斬れるもんだげんど、抜かないったって、その刀ざぁぺろっと魔除けるぐらいなもんだから、日本一の刀鍛冶だったと。
 そいつは小(ち)っちゃいうちに、オッカに死なっでおわきと名付った継母(かか)に育てらっだと。そいつは意地根性わるくて、お魚など付けっど、何時でも頭などばっかり付けて、中のええどこは二番子三番子さ付けっかったと。そうすっど、二番子三番子は、
「兄んちゃのは、頭ばりだ」
 なんて言うがったと。五郎政宗は賢こいもんだから、
「こいつ、頭つけたのは、人の頭になれ、とオッカ言うたのだべ。俺はうんと好きだ」
 なて、食うがったと。そうすっど、そのオカタも、「頭付けてくれたら、あの政宗は、人の頭になれと言うように考える。おかしいもんだ」と言うて、その次に尻尾の、さっぱり食うどこないのを膳さつけたと。そしたれば、また舎弟は、
「兄ンちゃな、尻尾であんげな食うどこない」
 と言うたと。そしたら、
「いやいや、そいつは俺が大きくなってから、王様になれと、尻尾を付けて呉(け)たんだでか。こいつはうまいもんだ」
 と、尻尾ば食うがったと。そして政宗はトコロがうんと好きだったと。一ぱい掘って来たと。
「トコロは俺が掘って来たんだし…」
 と、いっぱい食れっからと思ってたら、そのオカタぺろっと皮むいて、毛とって、美味いとこを自分の子どもさばり食(か)せて、政宗どさは皮と毛ばり食せっだったと。そしたら、また舎弟こどら、
「なえだ、兄ンちゃの、毛と皮ばりで食うどこあんめえちゃえ」
 と、こう言うたと。
「いやいや、こいつはこれから毛など皮など痛くしたりすることあるもんだ。皮は皮の薬、毛は毛の薬だし、うまいもんだ」
 と食っていたと。それくらい賢こいもんだから、これは日本一の刀鍛冶になったんだと。どーびんと。

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