2 白髭明神

 元白髭明神境内の巨杉はうっそうとしていて昼なお暗く、ただ一人の参詣はものすごかった。ことに堂の前の老杉二股杉は二人ぐらいの人は、かくれても前方からは見えなかったという。明治二十三年現在地へ移転したが、その移転について、境内の木を切ったその時、この由緒ある二股杉も切ったが、その切り跡に風呂をたてて入ったといわれている。この二股の杉は上杉綱勝の御内室会津夫人がお手植したのだといい伝えられておった。下から枝かかり、しぎは巣をかけて子を生んだという何とも珍らしい木であった。巨杉のこととて「祈り釘」など三四本あったと伝えられている。
(露藤)
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