7 白髭尊像

 白髭尊像は春日の作と称されている。以前は宮殿に安置されてあったが、阿弥陀堂荒廃と一緒に氏子惣代尊像並びに明神像を、俗家に安置することはできないと、金寿院に預かることとした。一年三回の祭には別当厨子共背おって来て安置し、祭り終ってまた別当が預かることとした。それも今年になっては尊像すら遷座しなくなった。尊像は小林平左ヱ門さんの寄付といわれている。丈一尺一寸温顔にして頬はゆたか、冠をかむり髭はあご髭があり、足は前にて組み、手は前にて合せている。木刻にして仲々重いひたたれを着、金色の模様あり、なお細かに拝顔すると亀形の模様あり。
 むかし、尊像、子どもと遊んで子どもが尊像の髭をむしりたるも一晩にして、もとの如く生えたりと伝えらる。
 金寿院には尊像を安置するに開かずの間ありといわれている。
(露藤)
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