8 白髭明神へ丑時参り

 白髭明神参道両側の杉の木は境内の杉以上の巨木といわれたが、明治十三年四カ村水論の結果、金に窮したので伐材した。そのとき木引きだけでも七人、明神の社に泊っていた。あるときのこと、一人の木引、夜中ごろ起き出してみると、一人の白装束の女、参道の方からやってくる。不思議に思い戸のかげにかくれてみていると、すたすたとやって来た女、社前に来るとぬかづいて参拝する。そして堂をぐるりと廻って再び参道へもどって行った。こうすること四・五日に及んだという。昼すらおそれられた社へ、しかも女の身で丑の刻参りに来たことにはいずれも驚いたという。なにものであったか分明しなかったという。
 なお、ここの白髭神社についての縁起は東京の慶応大学に保存されており、また武蔵野夜話の著者白石実さんは、白髭大明神についてこう語っている。「白髭明神は朝鮮の崇敬する神で、この神を祀っているところ、必ず朝鮮人の帰化したところだという。」
(露藤)
>>つゆふじの伝説 目次へ