100 小佐家部落

 七十年ぐらい前になるまで、至るところに狐はいた。人里まで来ることもあった。丁度喜兵衛さんが若かった頃、居宅近くへやって来て、東に胡瓜畑があったが、二三匹の小狐が来て、角力などとっているものであった。あるとき、雉のけたたましい叫声に家人はおどろいて行ってみたら犬のような狐が窓を破って一散に逃げ、雉は四羽、小屋の傍の杉の木にとび上って下りて来ようとしなかった。また堅雪になる頃、どこでも氷大根を干したが、狐はよい食べものとばかりとって食ったものという。
(露藤)
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