111 佐兵次のこと

 小佐家の安部今吉さんは八十九才でなくなった。珍らしく長命な人だった。露藤の名物男佐兵次を知って色々な話をした。
 同老、小野川の扇屋旅館に泊ったとき、露藤の佐兵次のことを聞いた。同人は「いじこ」作りの名人で、よく頼まれると、喜んで飯も食わずに作った。一日に二個を作ることも珍らしくなかったといわれる。機織りも上手で、機道具は自からこしらえたという。
(露藤)
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