116 露藤の名物女

 四十年ばかり前に露藤に名物女がおった。ぎなりおしう(小佐家又右ヱ門)、ぺちゃくちゃお富(上舘太兵ヱ)、だまりおせを(平左ヱ門)、ぶんぶらおみつ(次郎右ヱ門)。
 おしうというのは剛気で男まさり、あねごと言われた。ぺちゃくちゃお富はよく語る人で、物知りで何ごとも知らないことがないといわれた。だまりおせをは黙して語らない、一日暮れても話もしない。またおみつは少しのことでも怒ってばかりいるもので、名物女とされたのであった。
(露藤)
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