117 入生田の八軒屋敷

 入生田の往昔は知るよしもないが、入生田に落付いた土着の住民はその領主に「いぐさ」を作って献上した。領主はことの外喜んで、土地の名をきいたら、まだ名がないというので、領主は、それなら以後はいぐさの育つ土地だから、いぐさ田と呼べと、それ以来、いぐさ田は入生田に転化したという。またアイヌ語研究家は入生田は窪こい水たまりだという。また老人で、松川の流れは入江になって入り込んだから入生田だという。旧家として月崎の清左ヱ門、桐屋敷の吉太郎、西舘の三右ヱ門、田中の善兵ヱ、百野の太兵ヱ、同所の半七、主計小屋の源右ヱ門、後藤半三郎の八軒という。なお主計小屋の山の神は源右ヱ門の屋敷明神であるといわれる。
(入生田)
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