43 いたちのいたずら

 いたちも、その頃は古い年経たものがおった。四十年ほど前のこと、喜兵衛さんで小屋を建てたことがあった。その傍に鶏小屋があった。夜半に鶏はけたたましく叫声を立てるので起きてみたら一匹のいたち、その大きさ犬のような怪物が鶏小屋の上にあがって小屋をゆするのであった。人の音を聞いてすぐ逃げたが、またも夜半に来る。こうして幾晩もやって来た。どうした術があるのか、鶏が囲いから外へ出た。そして木の上にとび上ったまま、明けるまで木の上にあがったまま降りて来なかったという。
(露藤)
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