49 死んだ人に会う

 小佐家の今井五右ヱ門さんの貞助さん、夜おそく帰宅して寝ようとしたら、茶の間から上段の方へ白装束した一人の女が行く様子、今頃あまりの不思議さに、妻の名を呼んだら寝床でお父さまかという。また子どもの名を呼んだが、これにも返事があった。そのうち、その白装束の女は上段から窓のところへ行ってかき消えた。そして仏前のキンの音は二度ばかり鳴った。人の気配は上段へ行ったはず、またキンの音、かさねがさねの不思議さにたまらなく寂しくなり寝床にもぐり込んだ。すると「今晩は、今晩は」という人の音、起きてみれば親類の某という女の死んだ知らせだった。
(露藤)
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