65 かわうそのいたずら

 四十年ばかり前のこと、露藤村下舘に勘左ヱ門さんという者がおった。やっぱり天王川のヤナ場をこしらえては連日泊って魚をとっておった。ある夜のこと、夕飯にせんものと小屋へ入った。そして夕飯にしてヤナ場へ行ってみたら、小犬のような怪物が立って今流れてくる川魚をしきりに捕って食っている。勘左ヱ門さんの姿を見るや、流れに入ってしまった。急に嫌な気になって小屋へ入って、またヤナ場に至れば、また怪物がいる。こうして一晩ヤナ場を荒した。いたちにしては大きいから、かわうそだろうという。同人の生存中の物語りである。
(露藤)
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