84 犬の足

 むかしむかし、犬が神さまさ仕えっだ時代は、足が三本だったど。ほして一生懸命神さまさ仕えるもんだから、犬さ言うたって。
「何か望みのものないか」て。ほしたら、
「神さま、神さま、世に望みないげんども、足三本では何とも安定がわるくて困ったもんだ。なぜかこいつ、世の動物みたい、四本にしてもらわんねが」
「いや、ほだなことは、あんまりええ」
 ていうわけで、どっからか持って来て、足一本、ちょぇっとふっつけた。ほしてはじめで四本になった。ところが犬もなかなか堅いもんだから、オシッコすっどき、ほの神さまからもらった足さひっかかっど失礼に当るていうわけで、やっこらさっと上げて、オシッコした。今でも犬、オシッコすっどき、神さまからもらった足さオシッコ掛っどなんねていうわけで、片足上げて小便たれんなだけど。どんぴんからりん、すっからりん。
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