94 銅の山

 むかしむかし、焚き物とってくるもええげんども、焚き物とるには、どの山さ入ってなんねぇどか、どこそこ開かねどて、昔は大変めんどうだった。ほんでほの燃える石探しがはやって、どこそこにもあっけ、ここそこにもあっけていうわけで、石炭探しした。はいつ、唐鍬や何かいで、掘って来たばりでええがったがら、燃える石探しした。
 ところがあるどこさ行ったらば、ゾッキリ、ゾッキリとワラジ切れる。
「おかしいこともあるもんだ」
 と思って見たれば、ピカピカ光っていだっけて。て、はいつがこんど〈切れる石〉ていうなで、結局、山火事のとき、銅の鉱山あっどこ、銅が自然に山火事で出てきたど。はいつは土器、石器よりも皮剥いだり、切ったりに便利だったど。ほれから鉱山ていうな始まったんだど。どんぴんからりん、すっからりん。
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