13 一休和尚

 一休和尚は、荼毘(だみ)さ行って、ずうっと荼毘かついで、一休が先に立って行ったら、栄町というところある、そこまで行ったらば、嫁入り(ムカサリ)とばったり出会ったと。
「和尚さま、和尚さま、和尚さまざぁ歌詠むことなかなか達者なもんだ。ここら栄町じだ。栄町で嫁入り(ムカサリ)と荼毘(だみ)はぼっつり行き合ったじだ、こりゃ何か歌出ねもんだか…、名文句…」
「ははぁ、こりゃ出る、雑作ない」
  大江戸は死ぬと生きるの栄(境)町
   死に行く人に させに行く人
 と詠んだ。みんなは感心したと。そして荼毘さ行って引導した。そうしたところは、その人のオカタまだ若いのだと。そして棺の前さ行って曲ったとき、屁を一つたれたと。みんなは、
「自分の夫(ごで)ぁ死んだに、棺の前さ行って屁たれっざぁ、あんまい」
 と、怒る(ごしゃぐ)人から笑う人から、わんわん言ったと。一休は黙って笑わないで、
  プッと言うのも「仏」なりけり
 と言って、荼毘終したっけと。どーびんと。

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